「開発素句報抜」1999年、418句

        1999年6月、27句/99-001〜006号
        1999年7月、82句/99-007〜036号
        1999年8月、90句/99-037〜063号
        1999年9月、68句/99-064〜093号
        1999年10月、70句/99-094〜124号
        1999年11月、50句/99-125〜151号
        1999年12月、31句/99-152〜174号    表紙に戻る


■■■■1999年6月、27句■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 先頭 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 末尾

■■開発素句報s 99-01 99.06.19 -r5
  開発素句報メルマガ版初号に
  万緑の万人にある永久歯       ハードエッジ 99.6
  火のついて水の流れの花火かな    ハードエッジ 99.6.17
  青蛙雨雲遠くより来たる       ハードエッジ 99.6.17
  河鹿の夜小鳥の朝となりにけり    ハードエッジ 99.6.18

■■開発素句報抜 99-02 99.06.21 -r20
  手花火の銀の匂ひのよかりけり    ハードエッジ 99.6.18
  和歌山県有田川の鵜飼(母に同行 徒歩漁法、初見)
  徒歩の鵜匠水の中より生えてゐる   ハードエッジ 99.06.20
  松明を水でなだめし鵜匠かな     ハードエッジ 99.06.20
  半身は闇の中なる鵜匠かな      ハードエッジ 99.06.20
  鵜飼の火母を照らしてゐたりけり   ハードエッジ 99.06.20
  松明を担いで帰る鵜匠かな      ハードエッジ 99.06.20

■■開発素句報抜 99-03 99.06.24 -r30
  鵜のための光鵜匠のための闇     ハードエッジ 99.6.23
  水の上に黒き半身鵜匠かな      ハードエッジ 99.6.23
  水の上に杭のごとくに鵜匠かな    ハードエッジ 99.6.23

■■開発素句報抜 99-04 99.06.26 -r31
  竹落葉亜細亜は雨の美しき      ハードエッジ 99.6.19
  始祖鳥の細き指先夏休        ハードエッジ 99.6.19
  饅頭のごとく大きく濃紫陽花     ハードエッジ  99.6.25
  木といふ字水に似てをり濃紫陽花   ハードエッジ  99.6.26

■■開発素句報抜 99-05 99.06.27 -r30
  明け方の雨垂れを聞く梅雨入かな   ハードエッジ 99.6.27
  目の玉に眼薬落す梅雨入かな     ハードエッジ 99.6.27
  梅雨暗しクレヨンの香の幼稚園    ハードエッジ 99.6.27
  梅雨寒やひき肉こねてハンバーグ   ハードエッジ 99.6.27
  大文字で始るGod枇杷の種     ハードエッジ 99.6.27

■■開発素句報抜 99-06 99.06.28 -k5 -r31
  業平忌舌下に赤き玉薬        ハードエッジ  99.6.27 日
  ひもすがら雨こまやかに植田かな   ハードエッジ  99.6.28 月
  ひとまはり大きかりけり油虫     ハードエッジ  99.6.28 月
  下駄はいてうどんを食ひに梅雨の宿  ハードエッジ  99.6.28 月
  梅雨深し入口ひとつある鳥篭     ハードエッジ  99.6.28 月


■■■■1999年7月、82句■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 先頭 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 末尾

■■開発素句報抜 99-07 99.07.01 -k2 -r30
  雨の日も人働くや濃紫陽花      ハードエッジ  99.6.30 水
  アーケード高くて場末濃紫陽花    ハードエッジ  99.6.30 水

■■開発素句報抜 99-08 99.07.02 -k5 -r32
  雨垂れに少し離れて蟻地獄      ハードエッジ  99.7.2 金
  しづかさや塵ひとつなき蟻地獄    ハードエッジ  99.7.2 金
  古寺の床下広し蟻地獄        ハードエッジ  99.7.2 金
  大寺に声明響け蟻地獄        ハードエッジ  99.7.2 金
  長き長き二十世紀や遠花火      ハードエッジ  99.7.2 金

■■開発素句報抜 99-09 99.07.03 -k4 -r32
  遠花火風に流るるあはれかな     ハードエッジ  99.7.2 金
  遠花火夜風に音もなかりけり     ハードエッジ  99.7.2 金
  父母は店に忙し遠花火        ハードエッジ  99.7.2 金
  山の辺にほこりのごとく遠花火    ハードエッジ  99.7.2 金

■■開発素句報抜 99-10 99.07.04 -k1 -r32
  白粉にはな筋とほす祭かな      ハードエッジ  99.7.4 日

■■開発素句報抜 99-11 99.07.05 -k3 -r33
  青空に水のしたたる梅雨晴間     ハードエッジ 99.7.5 月
  青空に日のまぶしさよ梅雨晴間    ハードエッジ 99.7.5 月
  一点に日の青空よ梅雨晴間      ハードエッジ 99.7.5 月

■■開発素句報抜 99-12 99.07.06 -k2 -r33
  青空に青のしたたり梅雨晴間     ハードエッジ 99.7.5 月
  濡れてゐる物の影あり梅雨晴間    ハードエッジ 99.7.5 月

■■開発素句報抜 99-13 99.07.07 -k1 -r33
  みちのくの闇うつくしく星まつり   ハードエッジ 99.7.7 水

■■開発素句報抜 99-14 99.07.08 -k4 -r35
  金魚のごときその人の名を忘れたる  ハードエッジ  99.7.7 水
  なめくぢり眠れば夢をみることも   ハードエッジ  99.7.7 水
  この他の今日のニュースを梅雨ごもり ハードエッジ  99.7.7 水
  ががんぼや金玉のあるバレリーナ   ハードエッジ  99.7.7 水

■■開発素句報抜 99-15 99.07.09 -k7 -r34
  丼に金魚を飼つて独り者       ハードエッジ  99.7.8 木
  きんぎよ金魚糞を引きずるあはれかな ハードエッジ  99.7.8 木
  さみしさにかへばさみしき金魚かな  ハードエッジ  99.7.8 木
  金魚さみし真水の中に赤を点し    ハードエッジ  99.7.8 木
  網棚に乗せたるごとし夏の雲     ハードエッジ  99.7.8 木
  涼しさや五分でのぼる標高差     ハードエッジ  99.7.8 木
  金魚寂しホワイト・ノイズばかり食ふ ハードエッジ  99.7.8 木

■■開発素句報抜 99-16 99.07.11 -k1 -r33
  青蚊帳を月の港と思ひけり      ハードエッジ 99.7.11 日

■■開発素句報抜 99-17 99.07.12 -k3 -r33
  天井の大らかに垂れ蚊帳かな     ハードエッジ  99.7.11 日
  初蚊帳のゆたかに裾を余したる    ハードエッジ  99.7.11 日
  蚊帳の香の弟いぢめやすきかな    ハードエッジ  99.7.11 日

■■開発素句報抜 99-18 99.07.13 -k6 -r33
  折るときに骨の音する蚊遣かな    ハードエッジ  99.7.12 月
  ゆつくりと火の廻りゆく蚊遣かな   ハードエッジ  99.7.12 月
  蚊遣火に流転の煙ありにけり     ハードエッジ  99.7.12 月
  蚊遣香あばらのごとき灰落す     ハードエッジ  99.7.12 月
  蚊遣香いくたび灰を落すらむ     ハードエッジ  99.7.12 月
  新妻や蚊帳の中なる螢の火      ハードエッジ  99.7.12 月

■■開発素句報抜 99-19 99.07.14 -k1 -r35
  就中背の高さぞ夏の花        ハードエッジ 99.7.14 水

■■開発素句報抜 99-20 99.07.15 -k3 -r36
  日向葵や蕾の時も沸騰す       ハードエッジ  99.7.15 木
  日向葵の畳の丈を越えけるも     ハードエッジ  99.7.15 木
  日向葵や頭に種を詰らせて      ハードエッジ  99.7.15 木

■■開発素句報抜 99-21 99.07.16 -k1 -r36
  クロスビー スティルス アン ナッシュ夏の星 ハードエッジ  99.7.15 木

■■開発素句報抜 99-22 99.07.17 -k5 -r37
  蚊遣火にすつと立ちたる煙かな    ハードエッジ  99.7.16 金
  赤き火に青き煙の蚊遣かな      ハードエッジ  99.7.16 金
  明け方やつひに火玉となる蚊遣    ハードエッジ  99.7.16 金
  蚊遣の灰部品のごとく積りけり    ハードエッジ  99.7.16 金
  座布団のごときをかかげ日向葵よ   ハードエッジ  99.7.16 金

■■開発素句報抜 99-23 99.07.18 -k1 -r37
  白玉がのどをつるりと業平忌     ハードエッジ  99.7.18 日

■■開発素句報抜 99-24 99.07.19 -k1 -r37
  入道雲桃にて桃を圧しつぶす     ハードエッジ  99.7.18 日

■■開発素句報抜 99-25 99.07.20 -k3 -r37
  「開発素句報抜」創刊1ヶ月
  梅雨明けの男歩めば下駄の音     ハードエッジ  99.7.19 月
  ぽんと鳴る遠き花火でありにけり   ハードエッジ  99.7.19 月
  遠花火聞いて落ちゆく眠りかな    ハードエッジ  99.7.19 月

■■開発素句報抜 99-26 99.07.21 -k3 -r37
  夕顔やまん中割れし硝子窓      ハードエッジ  99.7.20 火
  夕顔のそのほころびの大いなる    ハードエッジ  99.7.20 火
  夕顔の実のふくらみの哀れかな    ハードエッジ  99.7.20 火

■■開発素句報抜 99-27 99.07.22 -k5 -r37
  海の月水の母なるくらげかな     ハードエッジ  99.7.21 水
  海月にもうみの母あり翻る      ハードエッジ  99.7.21 水
  くらくらとめまひのごとき水母かな  ハードエッジ  99.7.21 水
  名を借して命取られて蟻地獄     ハードエッジ  99.7.21 水
  またひとつ山の端に咲く花火かな   ハードエッジ  99.7.21 水

■■開発素句報抜 99-28 99.07.23 -k3 -r36
  屋根に出て花火の人となりにけり   ハードエッジ  99.7.22 木
  父とゐて花火を見るや屋根の上    ハードエッジ  99.7.22 木
  遠くにも屋根の人ゐて花火見る    ハードエッジ  99.7.22 木

■■開発素句報抜 99-29 99.07.24 -k5 -r36
  暑さまだこれからといふ暑さかな   ハードエッジ  99.7.23 金
  ねずみ花火尻尾のほかはなかりけり  ハードエッジ  99.7.23 金
  手花火に自慢の母を見せにくる    ハードエッジ  99.7.23 金
  運転手乗客車掌揚花火        ハードエッジ  99.7.23 金
  風呂屋まだ灯を点さずに夏の月    ハードエッジ  99.7.23 金

■■開発素句報抜 99-30 99.07.25 -k3 -r38
  電車去り看板残る暑さかな      ハードエッジ  99.7.25 日
  立看板炎天の地にうすく立つ     ハードエッジ  99.7.25 日
  暑き日の女豹のごとく続きけり    ハードエッジ  99.7.25 日

■■開発素句報抜 99-31 99.07.26 -k1 -r38
  積みあげて桃の狂乱雲の峰      ハードエッジ  99.7.25 日

■■開発素句報抜 99-32 99.07.27 -k3 -r38
  薔薇を描く絵筆は薔薇色に濡れて   ハードエッジ  99.7.26 月
  薔薇よりも薔薇色涼し水ゑのぐ    ハードエッジ  99.7.26 月
  乱るるは舌に黒髪紅薔薇       ハードエッジ  99.7.26 月

■■開発素句報抜 99-33 99.07.28 -k1 -r38
  Mさん、帰省
  大丈夫心配無用雲の峯        ハードエッジ  99.7.26 月

■■開発素句報抜 99-34 99.07.29 -k1 -r38
  ステンレス超硬チップ夏痩せて    ハードエッジ  99.7.28 水

■■開発素句報抜 99-35 99.07.30 -k1 -r38
  涼しさの右から左へと抜けて     ハードエッジ  99.7.29 木

■■開発素句報抜 99-36 99.07.31 -k2 -r38
  雲の峰都心の方に立並ぶ       ハードエッジ  99.7.30 金
  夜の秋ディンプルといふ喫茶店    ハードエッジ  99.7.30 金


■■■■1999年8月、90句■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 先頭 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 末尾

■■開発素句報抜 99-37 99.08.01 -k1 -r38
  風吹いて炎天ひたすらに青し     ハードエッジ 99.7.31 土

■■開発素句報抜 99-38 99.08.02 -k4 -r39
  蜻蛉止る翅で頭を隠すやう      ハードエッジ 99.8.1 日
  蜻蛉止る翅で遠くを聞くやうに    ハードエッジ 99.8.1 日
  背に腹に白き汚れの油蝉       ハードエッジ 99.8.1 日
  新宿は夜を灯して雲の峰       ハードエッジ 99.8.1 日

■■開発素句報抜 99-38 99.08.03 -k10 -r39
  日向葵の水平線の上にかな      ハードエッジ 99.8.2 月
  アイロンのごと足首を立て昼寝    ハードエッジ 99.8.2 月
  旅人のふと眼の覚めし昼寝かな    ハードエッジ 99.8.2 月
  なにもかもなつかしきかな昼寝覚   ハードエッジ 99.8.2 月
  日暮までいかに過さむ昼寝覚     ハードエッジ 99.8.2 月
  雨音の滲むがごとく昼寝覚      ハードエッジ 99.8.2 月
  びしょびしょのコップとなりて昼寝覚 ハードエッジ 99.8.3 火
  夕月や水の中なる真桑瓜       ハードエッジ 99.8.2 月
  夜の雲流れて祭太鼓かな       ハードエッジ 99.8.2 月
  短夜の足裏に白きサロンパス     ハードエッジ 99.8.2 月

■■開発素句報抜 99-40 99.08.04 -k5 -r39
  宇治金時明治大正昭和かな      ハードエッジ 99.8.3 火
  勝手口より片陰に出でにけり     ハードエッジ 99.8.3 火
  満月のごとく重たき西瓜かな     ハードエッジ 99.8.3 火
  先走る音こそよけれ西瓜切る     ハードエッジ 99.8.3 火
  故里に西瓜の種をまき散らす     ハードエッジ 99.8.3 火

■■開発素句報抜 99-41 99.08.05 -k7 -r39
  油蝉白く汚れしひとところ      ハードエッジ 99.8.3 火
  大阪は雨に煙るよ初鰹        ハードエッジ 99.8.3 火
  飛行機の明滅しづか夜の秋      ハードエッジ 99.8.4 水
  つながりて雲の流るる夜の秋     ハードエッジ 99.8.4 水
  夜すずし明日訪ねてくる人よ     ハードエッジ 99.8.4 水
  白桃の思ひは胸の痛みかな      ハードエッジ 99.8.4 水
  短夜のかくまで長きこひごころ    ハードエッジ 99.8.4 水

■■開発素句報抜 99-42 99.08.06 -k5 -r39
  式台の上に日向葵置かれある     ハードエッジ 99.8.5 木
  空き缶のふたにぎざぎざ夏の雨    ハードエッジ 99.8.5 木
  みいちゃんをさらひに行かな雲の峰  ハードエッジ 99.8.5 木
  おじさんのこひのやまひの炎天下   ハードエッジ 99.8.5 木
  この恋や書斎に出でし油虫      ハードエッジ 99.8.5 木

■■開発素句報抜 99-43 99.08.07 -k2 -r40
  風吹いて草木の揺るる夜の秋     ハードエッジ 99.8.4 水
  縁側に涼風来る山河かな       ハードエッジ 99.8.6 金

■■開発素句報抜 99-44 99.08.08 -k4 -r40
  櫻木の花を知らざる蝉時雨      ハードエッジ 99.8.7 土
  片蔭にゐる黒猫の蹠かな       ハードエッジ 99.8.7 土
  また一つ夜濯ぎの背に星流る     ハードエッジ 99.8.8 日
  夜もすがら雲の流れや夏の果     ハードエッジ 99.8.8 日

■■開発素句報抜 99-45 99.08.09 -k4 -r41
  手を伸べて届かぬものや夜の蝉    ハードエッジ 99.8.8 日
  夜の蝉星の光のあまたなる      ハードエッジ 99.8.8 日
  あつまつて星は星座に夜の蝉     ハードエッジ 99.8.8 日
  白雲が空一杯や夜の蝉        ハードエッジ 99.8.8 日

■■開発素句報抜 99-46 99.08.10 -k4 -r41
  獣毛のごはごは乾く敗戦日      ハードエッジ 99.8.8 日
  アキカゼニフドシカワカセマケイクサ ハードエッジ 99.8.9 月
  炎昼の負けて悔しき花一匁      ハードエッジ 99.8.10 火
  流星や至近距離なる顔と顔      ハードエッジ 99.8.10 火

■■開発素句報抜 99-47 99.08.11 -k2 -r42
  まはれまはれ月夜のメリーゴーランド ハードエッジ 99.8.10 火
  貝の舌月の光の中にかな       ハードエッジ 99.8.11 水

■■開発素句報抜 99-48 99.08.12 -k4 -r42
  国旗よりシーツ大きく敗戦日     ハードエッジ 99.8.11 水
  日の丸の日の無きシーツ八月よ    ハードエッジ 99.8.11 水
  夏空やパジャマが泳ぐこと覚え    ハードエッジ 99.8.11 水
  国道や西日の後ろから車       ハードエッジ 99.8.12 木

■■開発素句報抜 99-49 99.08.13 -k3 -r42
  涼み舟風に倒され紙コップ      ハードエッジ 99.8.12 木
  新涼や心に点が三つある       ハードエッジ 99.8.12 木
  汗かいて寝息をたてて項かな     ハードエッジ 99.8.12 木

■■開発素句報抜 99-50 99.08.14 -k1 -r43
  冷房や細かく刻む茹玉子       ハードエッジ 99.8.13 金

■■開発素句報抜 99-51 99.08.19 -k8 -r43
  長生きのこつをうつうつ生身魂    ハードエッジ 99.8.14 土
  夏の雨南の風をともなひて      ハードエッジ 99.8.14 土
  塵芥すべてを流す夏の雨       ハードエッジ 99.8.14 土
  花びらにキスして夏を惜しみけり   ハードエッジ 99.8.14 土
  終戦記念日空青々と駐車場      ハードエッジ 99.8.15 日
  敗戦日牙を抜かれて爪までも     ハードエッジ 99.8.15 日
  目の玉の虚ろに澄んで蝉の殻     ハードエッジ 99.8.15 日
  夜の蝉一つ暴れてゐたりけり     ハードエッジ 99.8.15 日

■■開発素句報抜 99-52 99.08.20 -k8 -r43
  蝉の鳴かぬ静かな朝となりにけり   ハードエッジ 99.8.17 火
  夕月や風の中なる蝉の声       ハードエッジ 99.8.18 水
  夕月や夏の終りを如何にせむ     ハードエッジ 99.8.18 水
  夜の秋のつかんで小さき踵かな    ハードエッジ 99.8.18 水
  流星や手のひらにのる足のうら    ハードエッジ 99.8.19 木
  夕月や秋には熱き腕欲し       ハードエッジ 99.8.19 木
  夕月や落ちて砕けるものに露     ハードエッジ 99.8.19 木
  名月や湖を渡つて笛の音       ハードエッジ 99.8.19 木

■■開発素句報抜 99-53 99.08.21 -k1 -r44
  連綿と祭提燈点いて夜中       ハードエッジ 99.8.20 金

■■開発素句報抜 99-54 99.08.22 -k1 -r44
  遠雷やそこに奈落のあるごとし    ハードエッジ 99.8.21 土

■■開発素句報抜 99-55 99.08.23 -k4 -r44
  夏の果の断層といふ縞模様      ハードエッジ 99.8.22 日
  追ひかけてゆくは妹秋茜       ハードエッジ 99.8.22 日
  恋人が昔を語る蛍かな        ハードエッジ 99.8.23 月
  いつの間に眠りに落る蛍かな     ハードエッジ 99.8.23 月

■■開発素句報抜 99-56 99.08.24 -k1 -r44
  秋の夜の廊下曲れば突当り      ハードエッジ 99.8.24 火

■■開発素句報抜 99-57 99.08.25 -k1 -r44
  秋風といふ水色の風が吹く      ハードエッジ 99.8.25 水

■■開発素句報抜 99-58 99.08.26 -k1 -r44
  秋雨の体育館の匂ひかな       ハードエッジ 99.8.26 木

■■開発素句報抜 99-59 99.08.27 -k1 -r46
  繰返す店内放送秋の雨        ハードエッジ 99.8.27 金

■■開発素句報抜 99-60 99.08.28 -k1 -r44
  目覚ましきもののひとつに星月夜   ハードエッジ 99.8.28 土

■■開発素句報抜 99-61 99.08.29 -k5 -r45
  秋の海うち捨てられてゐたりけり   ハードエッジ 99.8.29 日
  一枚にのべてさびしき秋の海     ハードエッジ 99.8.29 日
  人影や秋の浜辺を寂しうす      ハードエッジ 99.8.29 日
  網棚に荷物並ぶや秋燈        ハードエッジ 99.8.29 日
  秋燈や食後のものを妻が剥く     ハードエッジ 99.8.29 日

■■開発素句報抜 99-62 99.08.30 -k1 -r45
  秋の星澄んで寂しさ染みとほる    ハードエッジ 99.8.30 月

■■開発素句報抜 99-63 99.08.31 -k1 -r46
  横顔を見てゐる秋の浜辺かな     ハードエッジ 99.8.31 火


■■■■1999年9月、68句■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 先頭 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 末尾

■■開発素句報抜 99-64 99.09.01 -k2 -r50
  夜もすがら廻れ二人の扇風機     ハードエッジ 99.9.1 水
  曇りたるままの一日夕かなかな    ハードエッジ 99.9.1 水

■■開発素句報抜 99-65 99.09.02 -k2 -r51
  ぼつてりと笑婦の月が夏の果     ハードエッジ 99.9.2 木
  抱合つて腕が四本豊の秋       ハードエッジ 99.9.2 木

■■開発素句報抜 99-66 99.09.03 -k5 -r51
  名月や岬に抱かれて港        ハードエッジ 99.9.3 金
  沖といふ今宵の月のおきどころ    ハードエッジ 99.9.3 金
  名月や沖にはあまた波頭       ハードエッジ 99.9.3 金
  月今宵君を湯舟に漕ぎ出でな     ハードエッジ 99.9.3 金
  名月や立てて明るき笑ひ声      ハードエッジ 99.9.3 金

■■開発素句報抜 99-67 99.09.04 -k1 -r51
  黒髪は畳に流れ月今宵        ハードエッジ 99.9.3 金

■■開発素句報抜 99-68 99.09.05 -k1 -r50
  みつしりと詰つて重し秋の川     ハードエッジ 99,9.4 日

■■開発素句報抜 99-69 99.09.06 -k1 -r50
  豊年や胴震ひしてオートバイ     ハードエッジ 99.9.6 月

■■開発素句報抜 99-70 99.09.07 -k4 -r50
  名月に湯上りの子を並べたる     ハードエッジ 99.9.7 火
  名月や船にも帰るべき母港      ハードエッジ 99.9.7 火
  十六夜の酔ひてはたのむ膝枕     ハードエッジ 99.9.7 火
  郊外の借家に住んで寝待月      ハードエッジ 99.9.7 火

■■開発素句報抜 99-71 99.09.08 -k1 -r51
  月代や黄粉に混ぜる白砂糖      ハードエッジ 99.9.8 水

■■開発素句報抜 99-72 99.09.09 -k2 -r52
  流星に撫でて冷たき背中かな     ハードエッジ 99.9.9 木
  黒くある物干竿や流れ星       ハードエッジ 99.9.9 木

■■開発素句報抜 99-73 99.09.10 -k2 -r52
  吹けば飛ぶ曼珠沙華にはあらざるも  ハードエッジ 99.9.9 木
  秋の夜の行方も知れず通り雨     ハードエッジ 99.9.9 木

■■開発素句報抜 99-74 99.09.11 -k2 -r52
  封筒の舌折返す秋の風        ハードエッジ 99.9.10 金
  秋の夜の長き黒髪さぐれば耳     ハードエッジ 99.9.10 金

■■開発素句報抜 99-75 99.09.12 -k2 -r52
  蟷螂に悲しき長さありにけり     ハードエッジ 99.9.11 土
  草の葉を虫の渡れる良夜かな     ハードエッジ 99.9.11 土

■■開発素句報抜 99-76 99.09.13 -k4 -r52
  秋雨の中に大きく水車        ハードエッジ 99.9.12 日
  秋雨や水車の上る水煙        ハードエッジ 99.9.12 日
  秋雨のままに暮れゆく水車かな    ハードエッジ 99.9.12 日
  稲妻や磁石は北を指してゆれて    ハードエッジ 99.9.12 日

■■開発素句報抜 99-77 99.09.14 -k1 -r52
  実石榴や遠きペルシャの市場にて   ハードエッジ 99.9.13 月

■■開発素句報抜 99-78 99.09.15 -k2 -r51
  秋晴や出戻りてまた父母のそば    ハードエッジ 99.9.13 月
  秋の夜の雲の流れの大いなる     ハードエッジ 99.9.14 火

■■開発素句報抜 99-79 99.09.16 -k7 -r52
  としよりの日の年寄の俳句かな    ハードエッジ 99.9.15 火
  朝顔や夜明けの色を競ひたる     ハードエッジ 99.9.15 火
  秋茄子土の色なるひとところ     ハードエッジ 99.9.15 火
  黒葡萄水に沈んで銀に汚れ      ハードエッジ 99.9.15 火
  曼珠沙華風雲急を告げにけり     ハードエッジ 99.9.15 火
  秋の日に風の運んできて小雨     ハードエッジ 99.9.15 火
  名月や銀座を通る銀座線       ハードエッジ 99.9.15 火

■■開発素句報抜 99-80 99.09.17 -k2 -r52
  蟷螂の恍惚として喰はれをる     ハードエッジ 99.9.17 金
  喰はれゆく蟷螂の眼に青き空     ハードエッジ 99.9.17 金

■■開発素句報抜 99-81 99.09.18 -k1 -r51
  秋雨を駆けゆく栗鼠の尻尾かな    ハードエッジ 99.9.17 金

■■開発素句報抜 99-82 99.09.19 -k5 -r52
  秋空の曇れば寂し遊園地       ハードエッジ 99.9.18 土
  吹降りの蚊帳の名残となりにけり   ハードエッジ 99.9.18 土
  長き夜の長き廊下の黒電話      ハードエッジ 99.9.18 土
  電気釜の予約ボタンの夜長かな    ハードエッジ 99.9.18 土
  お向いの玄関の灯の夜長かな     ハードエッジ 99.9.18 土

■■開発素句報抜 99-83 99.09.20 -k3 -r53
  小舟にて岬を巡る良夜かな      ハードエッジ 99.9.20 月
  人訪はん今宵雨夜の月なれば     ハードエッジ 99.9.20 月
  芒原風にめくれる良夜かな      ハードエッジ 99.9.20 月

■■開発素句報抜 99-84 99.09.21 -k1 -r52
  海原は波をゆたかに今日の月     ハードエッジ 99.9.20 月

■■開発素句報抜 99-85 99.09.22 -k1 -r54
  名月や両横綱は東西に        ハードエッジ 99.9.22 水

■■開発素句報抜 99-86 99.09.23 -k6 -r56
  帰らざるものに手を振る芒かな    ハードエッジ 99.9.23 木
  風に流れ夕日に浮び花芒       ハードエッジ 99.9.22 水
  忘却も別離もいやで萩芒       ハードエッジ 99.9.23 木
  芒原歩めばごはり雨合羽       ハードエッジ 99.9.22 水
  名月やなでて冷たきふくらはぎ    ハードエッジ 99.9.23 木
  桔梗やふつくらふたつふくらはぎ   ハードエッジ 99.9.23 木

■■開発素句報抜 99-87 99.09.24 -k2 -r57 -c
  名月の中まで透けて見えるかな    ハードエッジ 99.9.23 木
  豊年や学生服に金釦         ハードエッジ 99.9.23 木

■■開発素句報抜 99-88 99.09.25 -k1 -r57
  月の出のごとく栗あり栗ごはん    ハードエッジ 99.9.24 金

■■開発素句報抜 99-89 99.09.26 -k1 -r58
  はららごや旅路の果に雨の降る    ハードエッジ 99.9.26 日

■■開発素句報抜 99-90 99.09.27 -k2 -r57
  夕刊の来ない日曜秋桜        ハードエッジ 99.9.26 日
  流星や夜行列車に海の風       ハードエッジ 99.9.26 日

■■開発素句報抜 99-91 99.09.28 -k1 -r57
  石も木も佛のかたち露けしや     ハードエッジ 99.9.28 火

■■開発素句報抜 99-92 99.09.29 -k2 -r57
  呑むほどに酔ふほどに月明らかに   ハードエッジ 99.9.28 火
  さび色にさびしき色に寝待月     ハードエッジ 99.9.28 火

■■開発素句報抜 99-93 99.09.30 -k1 -r58
  雲を延べ更待月の出づるまで     ハードエッジ 99.9.29 水


■■■■1999年10月、70句■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 先頭 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 末尾

■■開発素句報抜 99-94 99.10.01 -k2 -r58 -c
  振向けばのつぺら坊や秋の風     ハードエッジ  99.10.1 金
  コスモスや小指・混乱・恋・工場   ハードエッジ  99.9.30 木

■■開発素句報抜 99-95 99.10.02 -k6 -r58
  日まみれに埃まみれに稲雀      ハードエッジ  99.10.1 金
  釣糸に寄る秋風もなかりけり     ハードエッジ  99.10.1 金
  自転車や堤をゆけば秋の暮      ハードエッジ  99.10.1 金
  流星や赤い扉の映画館        ハードエッジ  99.10.1 金
  流星やどよめき漏るる映画館     ハードエッジ  99.10.1 金
  人も星も流れの果の佐渡島      ハードエッジ  99.10.1 金

■■開発素句報抜 99-96 99.10.03 -k2 -r58
  虫の音やいつしか雨のあがりたる   ハードエッジ  99.10.3 日
  雨止んで風の止まざる芒かな     ハードエッジ  99.10.3 日

■■開発素句報抜 99-97 99.10.04 -k2 -r58
  思ひ出の小雨決行運動会       ハードエッジ  99.10.3 日
  秋の夜の醤油たばしる焼魚      ハードエッジ  99.10.3 日

■■開発素句報抜 99-98 99.10.05 -k1 -r58
  ひつぢ田の針千本のうす緑      ハードエッジ  99.10.4 月

■■開発素句報抜 99-99 99.10.06 -k1 -r58
  闇の中山の中なる落し水       ハードエッジ  99.10.5 火

■■開発素句報抜 99-100 99.10.07 -k1 -r56 -c
  空の色月の青ともいふべかり     ハードエッジ  99.10.7 水

■■開発素句報抜 99-101 99.10.08 -k1 -r59
  一寸の高さを極め草の花       ハードエッジ  99.10.8 木

■■開発素句報抜 99-102 99.10.09 -k2 -r59
  さびしさや数を尽して草の花     ハードエッジ  99.10.9 土
  秋灯運転席に暗くある        ハードエッジ  99.10.9 土

■■開発素句報抜 99-103 99.10.10 -k6 -r60
  風に鳴る秋の蓮田となりにけり    ハードエッジ  99.10.9 土
  破蓮朝日を浴びてゐたりけり     ハードエッジ  99.10.9 土
  破蓮機械仕掛でありにけり      ハードエッジ  99.10.9 土
  折れしものぶら下るもの破蓮     ハードエッジ  99.10.9 土
  ぶら下るものも水漬き破蓮      ハードエッジ  99.10.9 土
  瓦解あり未生あり破蓮あり      ハードエッジ  99.10.10 日

■■開発素句報抜 99-104 99.10.11 -k1 -r60
  雨合羽枝に垂るるよ破蓮       ハードエッジ  99.10.10 日

■■開発素句報抜 99-105 99.10.12 -k3 -r60
  秋晴や影をくつきり観覧車      ハードエッジ  99.10.11 月
  流星や背中に落る湯気雫       ハードエッジ  99.10.11 月
  小夜更けて大浴場に流れ星      ハードエッジ  99.10.11 月

■■開発素句報抜 99-106 99.10.13 -k5 -r61
  秋晴に一片の雲何の意ぞ       ハードエッジ  99.10.13 水
  貨車と貨車客車と客車いわし雲    ハードエッジ  99.10.13 水
  宵闇やソファーを包む獣皮      ハードエッジ  99.10.13 水
  名月や夜にも青空ありにけり     ハードエッジ  99.10.12 火
  月を得し青き夜空でありにけり    ハードエッジ  99.10.13 水

■■開発素句報抜 99-107 99.10.14 -k3 -r60
  三日月や一番星を待つてゐる     ハードエッジ  99.10.13 水
  三日月や一番星に遠くある      ハードエッジ  99.10.13 水
  三日月の風の家路となりにけり    ハードエッジ  99.10.13 水

■■開発素句報抜 99-108 99.10.15 -k3 -r59
  デコレーション・ケーキ真つ白鶏頭花 ハードエッジ  99.10.14 木
  バリカンのぶるぶる唸る鶏頭花    ハードエッジ  99.10.14 木
  灯を消して紅葉の闇となりにけり   ハードエッジ  99.10.14 木

■■開発素句報抜 99-109 99.10.16 -k4 -r58
  菊花展白髪の老女美しき       ハードエッジ  99.10.15 金
  菊人形嗚咽の袖に水をかけ      ハードエッジ  99.10.15 金
  流星や指の記憶のベルベット     ハードエッジ  99.10.15 金
  かき混ぜて卵の黄色神無月      ハードエッジ  99.10.15 金

■■開発素句報抜 99-110 99.10.17 -k1 -r59 -c
  流れ星いくつも夢を見る子かな    ハードエッジ  99.10.16 土

■■開発素句報抜 99-111 99.10.18 -k1 -r59
  朝寒き善意の人でありにけり     ハードエッジ  99.10.18 月

■■開発素句報抜 99-112 99.10.19 -k2 -r59
  朝寒の車輌の見えぬ車輌基地     ハードエッジ  99.10.18 月
  半ば埋る市電のレール露けしや    ハードエッジ  99.10.18 月

■■開発素句報抜 99-113 99.10.20 -k1 -r60
  ぽろぽろと雲のこぼるる秋の空    ハードエッジ  99.10.19 火

■■開発素句報抜 99-114 99.10.21 -k1 -r61
  菊人形色香のあつて哀れかな     ハードエッジ  99.10.21 木

■■開発素句報抜 99-115 99.10.22 -k1 -r63
  秋晴の雲一つなき心かな       ハードエッジ  99.10.21 木

■■開発素句報抜 99-116 99.10.23 -k2 -r63
  それはまう雲ひとつなき秋の空    ハードエッジ  99.10.22 金
  蟷螂の雄に囁く言葉かな       ハードエッジ  99.10.23 土

■■開発素句報抜 99-117 99.10.24 -k1 -r66
  十六夜に放てし小舟音もなし     ハードエッジ  99.10.24 日

■■開発素句報抜 99-118 99.10.25 -k2 -r66
  虫売の後ろ怒涛の闇がある      ハードエッジ  99.10.25 月
  虫売の消えて虫の音残りけり     ハードエッジ  99.10.25 月

■■開発素句報抜 99-119 99.10.26 -k2 -r68
  唐辛子叩いてつくる日本刀      ハードエッジ  99.10.26 火
  穴まどひ地にぺつたりと横断歩道   ハードエッジ  99.10.26 火

■■開発素句報抜 99-120 99.10.27 -k2 -r68 -c
  秋の蚊の近所の人の如通る      ハードエッジ  99.10.26 火
  蚊の名残飛んで畳に止りけり     ハードエッジ  99.10.26 火

■■開発素句報抜 99-121 99.10.28 -k6 -r69
  立て掛けて案山子の足の長きかな   ハードエッジ  99.10.27 水
  柿を干し大根を切り並べたる     ハードエッジ  99.10.27 水
  火の山となるべき落葉集めけり    ハードエッジ  99.10.27 水
  秋の蚊の弱音を吐いて通りけり    ハードエッジ  99.10.27 水
  11月砂鉄をまとふ電磁石      ハードエッジ  99.10.27 水
  分銅のくびれをつまむ秋の暮     ハードエッジ  99.10.27 水

■■開発素句報抜 99-122 99.10.29 -k2 -r71
  雲一つ置いて秋天よかりけり     ハードエッジ  99.10.28 木
  幸せになりましたとさ秋の風     ハードエッジ  99.10.28 木

■■開発素句報抜 99-123 99.10.30 -k1 -r74
  落葉焚きれいな灰となりにけり    ハードエッジ  99.10.29 金

■■開発素句報抜 99-124 99.10.31 -k2 -r77
  りんごりんご赤とは丸い色にして   ハードエッジ  99.10.30 土
  北へ行く夜行列車や翁の忌      ハードエッジ  99.10.30 土


■■■■1999年11月、50句■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 先頭 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 末尾

■■開発素句報抜 99-125 99.11.01 -k2 -r78
  60回ある11月の11時      ハードエッジ  99.11.1 月
  枯菊焚いてゐるは西向く士か     ハードエッジ  99.11.1 月

■■開発素句報抜 99-126 99.11.02 -k3 -r77
  時にふと思ひ出すこと返り花     ハードエッジ  99.11.2 火
  しばらくや紅葉の下に雨やどり    ハードエッジ  99.11.2 火
  種なし柿の種の跡なる一文字     ハードエッジ  99.11.1 月

■■開発素句報抜 99-127 99.11.03 -k3 -r76
  どこまでもたどたどしきや冬の蝶   ハードエッジ  99.11.2 火
  寒の鯉地軸の如くありにけり     ハードエッジ  99.11.3 水
  みつみつと詰つてゐたり寒の鯉    ハードエッジ  99.11.3 水

■■開発素句報抜 99-128 99.11.04 -k6 -r75
  祝日が週の真ん中返り花       ハードエッジ  99.11.3 水
  露草といひ月草といひもして     ハードエッジ  99.11.3 水
  時雨きくための袂と思はねど     ハードエッジ  99.11.3 水
  小夜時雨からから空の弁当箱     ハードエッジ  99.11.3 水
  しぐるるやらふそくつつと流るるも  ハードエッジ  99.11.3 水
  寒鯉の重さに池の沈みたる      ハードエッジ  99.11.4 木

■■開発素句報抜 99-129 99.11.05 -k6 -r75
  まばたきは生の証か草の花      ハードエッジ  99.11.4 木
  寒鯉や正面を向き無音なる      ハードエッジ  99.11.4 木
  寒鯉や横長にして顔のある      ハードエッジ  99.11.4 木
  注射針見てゐるごとし寒の鯉     ハードエッジ  99.11.4 木
  両腕を垂れてとつぷり秋の暮     ハードエッジ  99.11.4 木
  双頭の竜頭蛇尾の穴惑        ハードエッジ  99.11.4 木

■■開発素句報抜 99-130 99.11.06 -k1 -r77 -c
  背骨より腸長し寒の水        ハードエッジ  99.11.6 土

■■開発素句報抜 99-131 99.11.07 -k1 -r78
  寒風や腹を抱へて笑ふ奴       ハードエッジ  99.11.7 日

■■開発素句報抜 99-132 99.11.08 -k1 -r78
  色褪せぬ写真に納め七五三      ハードエッジ  99.11.8 月

■■開発素句報抜 99-133 99.11.09 -k1 -r78
  しぐるるやふるふる湯豆腐の四角   ハードエッジ  99.11.8 月

■■開発素句報抜 99-134 99.11.10 -k1 -r78
  時雨るるや旅路の果の四畳半     ハードエッジ  99.11.9 火

■■開発素句報抜 99-135 99.11.11 -k1 -r77
  一面の大群衆の枯野かな       ハードエッジ  99.11.10 水

■■開発素句報抜 99-136 99.11.12 -k1 -r76
  一本の案山子百万本の稲       ハードエッジ  99.11.12 金

■■開発素句報抜 99-137 99.11.13 -k1 -r77
  落葉してさらにむらさき式部の実    ハードエッジ  99.11.13 土

■■開発素句報抜 99-138 99.11.14 -k4 -r76
  片恋やざくろの皮のさびて硬し   ハードエッジ  99.11.13 土
  種といふさびしさに割れ石榴の実  ハードエッジ  99.11.13 土
  慈しむ鬼子の頭蓋石榴の実     ハードエッジ  99.11.13 土
  木枯に吹寄せられし二人かな    ハードエッジ  99.11.13 土

■■開発素句報抜 99-139 99.11.15 -k1 -r78
  いつかまたこの冬麗の地を踏まん  ハードエッジ  99.11.15 月

■■開発素句報抜 99-140 99.11.16 -k1 -r79
  身の上を誰に語らむ初時雨     ハードエッジ  99.11.15 月

■■開発素句報抜 99-141 99.11.17 -k2 -r79
  その穴の一番奥に冬眠す       ハードエッジ  99.11.17 水
  冬眠の深き眠りに雪降り積む     ハードエッジ  99.11.17 水

■■開発素句報抜 99-142 99.11.18 -k1 -r79
  半分にみがきたてたる冬の月     ハードエッジ  99.11.17 水

■■開発素句報抜 99-143 99.11.19 -k1 -r80
  柱の影が壁を上るよ神無月      ハードエッジ  99.11.19 金

■■開発素句報抜 99-144 99.11.20 -k1 -r80 -c
  冬の海荒れ放題に暮れんとす     ハードエッジ  99.11.20 土

■■開発素句報抜 99-145 99.11.22 -k1 -r82
  ありありとほこりの見ゆる小春かな  ハードエッジ  99.11.22 月

■■開発素句報抜 99-146 99.11.24 -k1 -r82
  水鳥を浮べて湖も眠るかな      ハードエッジ  99.11.23 火

■■開発素句報抜 99-147 99.11.25 -k2 -r81
  寒灯を浮べて川の流れかな      ハードエッジ  99.11.24 水
  くもりたる電話ボックス寒の雨    ハードエッジ  99.11.24 水

■■開発素句報抜 99-148 99.11.26 -k1 -r81
  その人を寒灯の踏切に待つ      ハードエッジ 99.11.25 木

■■開発素句報抜 99-149 99.11.27 -k1 -r81
  一本の赤き糸なる毛糸玉       ハードエッジ 99.11.26 金

■■開発素句報抜 99-150 99.11.28 -k3 -r80
  石畳急ぐ落葉でありにけり      ハードエッジ 99.11.28 日
  時雨るるや落葉の上に落葉落つ    ハードエッジ 99.11.28 日
  デパートに旗めくものの十二月    ハードエッジ 99.11.28 日

■■開発素句報抜 99-151 99.11.30 -k2 -r83
  毛糸玉笑ひ転げてゐたりけり     ハードエッジ 99.11.30 火
  毛糸玉すがた形を変へにけり     ハードエッジ 99.11.30 火


■■■■1999年12月、31句■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 先頭 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 末尾

■■開発素句報抜 99-152 99.12.03 -k1 -r81
  紅葉散る中に紅葉を掃きにけり    ハードエッジ 99.12.02 木

■■開発素句報抜 99-153 99.12.04 -k1 -r82 -c
  肉の中に長き骨ある湯冷めかな    ハードエッジ 99.12.04 土

■■開発素句報抜 99-154 99.12.05 -k1 -r82
  湯ざめする母を叱つてしまひけり   ハードエッジ  99.12.3 金

■■開発素句報抜 99-155 99.12.11 -k3 -r84
  夕月や並べられたる鱈の腹      ハードエッジ  99.12.10 金
  湯豆腐にうつくしき湯気ありにけり  ハードエッジ  99.12.10 金
  湯豆腐の湯気や十年一昔       ハードエッジ  99.12.10 金

■■開発素句報抜 99-156 99.12.12 -k1 -r84
  湯豆腐の奴一つを箸の先       ハードエッジ  99.12.12 日

■■開発素句報抜 99-157 99.12.13 -k2 -r84
  水の上に玉のごとくに浮寝鳥     ハードエッジ  99.12.12 日
  水鳥の二本の足で歩きけり      ハードエッジ  99.12.12 日

■■開発素句報抜 99-158 99.12.14 -k1 -r85
  寒晴や青といふ字は月を宿し     ハードエッジ  99.12.14 火

■■開発素句報抜 99-159 99.12.15 -k1 -r85
  湯ざめして液体といふ体       ハードエッジ  99.12.15 水

■■開発素句報抜 99-160 99.12.16 -k1 -r87
  十階に五階を見やる冬至かな     ハードエッジ  99.12.15 水

■■開発素句報抜 99-161 99.12.17 -k2 -r90
  来てみればもみぢの館ありにけり   ハードエッジ  99.12.17 金
  来年や枯木に花を咲かすべく     ハードエッジ  99.12.17 金

■■開発素句報抜 99-162 99.12.18 -k1 -r90
  真空を羽毛の落つる寒の月      ハードエッジ  99.12.18 土

■■開発素句報抜 99-163 99.12.19 -k1 -r90
  年の瀬の窓から車掌さんの首     ハードエッジ  99.12.19 日

■■開発素句報抜 99-164 99.12.20 -k1 -r91
  荒々と銅色に枯れたるよ       ハードエッジ  99.12.20 月

■■開発素句報抜 99-165 99.12.21 -k3 -r90
  年の瀬のビルに日当る人通り     ハードエッジ  99.12.21 火
  年の瀬の遠くの雲を見てゐたる    ハードエッジ  99.12.21 火
  寒月や丼丸く湯気を立て       ハードエッジ  99.12.21 火

■■開発素句報抜 99-166 99.12.22 -k1 -r92
  数へ日の特急電車通過待ち      ハードエッジ  99.12.22 水

■■開発素句報抜 99-167 99.12.23 -k1 -r91
  母いつか老母となりて日脚伸ぶ    ハードエッジ  99.12.23 木

■■開発素句報抜 99-168 99.12.24 -k3 -r90
  東京に初雪メリークリスマス     ハードエッジ  99.12.24 金
  鐘ついて鐘の雪散るクリスマス    ハードエッジ  99.12.24 金
  聖夜劇天使の星の大いなる      ハードエッジ  99.12.24 金

■■開発素句報抜 99-169 99.12.25 -k1 -r90
  月よりも星のきらめきクリスマス   ハードエッジ  99.12.24 金

■■開発素句報抜 99-170 99.12.26 -k1 -r91
  寒夕焼灯してビルの静かなる     ハードエッジ  99.12.26 日

■■開発素句報抜 99-171 99.12.27 -k1 -r92
  雪の夜の木の枝の先を思ふべし    ハードエッジ  99.12.27 月

■■開発素句報抜 99-172 99.12.28 -k1 -r92
  寒泳の抜手ふたたび水を刺す     ハードエッジ  99.12.28 火

■■開発素句報抜 99-173 99.12.29 -k1 -r92
  年惜しむ朱き卵を魚の腹       ハードエッジ  99.12.29 水

■■開発素句報抜 99-174 99.12.30 -k1 -r92 -c
  行く年や高きところにヘリポート   ハードエッジ  99.12.30 木


■■■■以上、1999年、418句■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 先頭 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 末尾

 
 表紙に戻る